1on1の実施には、部下と信頼関係を築くことや、部下の成長を促すことができるなど、さまざまな効果があるとされています。
それでは、実際に1on1を実施する際には、どのような流れで行うべきなのでしょうか。
1on1の進め方
1on1は基本的に①事前準備、②アイスブレイク、③前回の振り返り、④メインセッション、⑤今回の振り返りの順に進めていきます。
- 事前準備
1on1に臨む前に、部下に聞きたいことやほめること、感謝することを事前にまとめておきましょう。
前回1on1を行った際のメモの確認や、残業時間なども含めた業務上の出来事を思い返すと、伝えるべきことが明確になります。
また、1on1に集中できるよう、開始前に上司自身が気持ちを整理することも必要です。
別件に気を取られていたり、イライラした気持ちを引きずったりしたままでは、相手の話を聴くことができず、効果的な1on1になりません。
深呼吸やストレッチなどでリフレッシュし、部下の話に集中する準備を行いましょう。
- アイスブレイク
話しやすい雰囲気をつくるために、1on1開始時にいきなり本題から話し始めるのではなく、最近の出来事などについて雑談(アイスブレイク)を行いましょう。
ポジティブな雰囲気にするために「最近の良かった出来事」について聞くこともおすすめです。
アイスブレイクでは、相手から話を聞くだけでなく、自己開示も意識して行うことが大切です。
「私はサッカーが好きで……」「最近こんなことがあって……」など、まず、上司側が部下に対してオープンな姿勢を見せることで、部下と打ち解けやすくなります。
部下の警戒心を和らげ、話しやすい状況をつくるためにも自分がどんな人間なのかを開示することが重要です。
- 前回の振り返り
前回の1on1で確認したアクションや、その進捗について聞きます。
変化があればフィードバックし、適宜認めたり、ほめたりします。
「前回話していた、A社の案件の進捗はどうですか?」「課題としていた営業力ですが、かなり身についてきているように見えますね」のように、振り返りを行いましょう。
このように、アクションや進捗について確認することで、前回の1on1から今回までの間で、部下ができたこと・まだできていないことを改めて整理することができます。
また、整理した内容についてさらに掘り下げて話す必要があれば、その内容についてメインセッションで話します。
- メインセッション
悩みや課題などの話したいことを部下自身に聞いて、セッションを開始します。
ただし、回を重ねていくと「特にありません……」と回答されることもあるので、話すべきテーマは上司が定期的に準備するとよいでしょう。
準備するテーマは、「業務の課題」や「目標達成に向けた進捗」などを中心として、部下の個性に合わせて選択すると話しやすくなります。
また、対話のなかでは上司がティーチング・コーチング・フィードバックのスキルを活用することも重要です。
特に1on1では、傾聴・質問・承認を中心としたコーチングが効果的です。
コーチングを行うことによって、目標を達成するために部下に必要となる能力や行動を引き出すことができます。
メインセッションの実施方法については、別の記事で詳しく説明します。
- 今回の振り返り
メインセッション終了後、部下の感想や気付きについて確認します。
対話のなかでどのような感想を持ち、気付きを得たのかなどを聞くことで、部下に伝えたかったことがしっかりと伝わったかを知り、部下との認識のすり合わせを行うことができます。
たとえば、「Aさんの現在のタスク量は丁度よい」という認識を持ったにも関わらず、Aさんが「積極的に他の人の仕事を手伝いに行こうと思った」という感想を述べたとすると、Aさんの認識と自身の認識が異なるのではないか、と違和感を持つことができます。
認識のズレに気付くことができれば、「Aさんはもっと仕事が欲しいと考えている」という正しいAさんの認識を知ることができます。
あるいは、Aさんに今必要なのは営業経験だと考えており、Aさん自身がそれに気付いていなかった場合、この機会に上司から伝えることもできます。
また、メインセッションで確認した今後のアクションや改善点について再確認しましょう。
最後にもう一度確認することで、何をすべきかが明確になり、1on1の効果が表れやすくなります。