2026.03.25 ニュース

Luvir Consulting × OVER20&Company.対談
“若者の挑戦が未来を変える” playfulな社会のつくり方

Luvir Consulting × OVER20&Company.対談<br>“若者の挑戦が未来を変える” playfulな社会のつくり方

「働くこと」と「生きること」が
再びつながる未来へ 

若者が主語になる社会とは、どんな景色なのか。 

CFJとPROJECT anyが見据えるのは、“自分が生きる意味”と“働く意義”が一致する未来だ。 

2回では、両者が考える2035年への道筋と、社会の価値循環のアップデートに迫る。 

働くことと生きることが分断された現代 

山本:第2回のテーマは「理想の社会像」です。お二人はどんな未来を見ているのでしょうか。 

奥地:第1回でも言いましたが、現代社会は「働くこと」と「生きること」が分断されてしまっていると感じるんです。 

「生きる」で言えば、幸せに暮らしたいとか、友人や家族との関係性、健康などが優先されますよね。 

一方で「働く」となった瞬間、途端にKPIや生産性、成果といった指標に縛られてしまう。この二つのゴールが、まったく別物になっているのが今の状態。 

でも本来は、働くことは自分のアイデンティティばかりか、「生きている実感」ともつながるはずなんです。 

昔のことをイメージすると分かりやすいでしょう。 

たとえば、農作業をしながら四季や自然のリズムと一緒に暮らしていた時代を思い浮かべてください。労働と生活がそこまで切り離されていなかったはずですよね。  

もちろん、昔に戻りたいという話ではなくて、働くことそのものの意義をもう一度捉え直したい、という感覚に近いんです。 

そして、そこに関係してくるのが「経済的価値・社会的価値・個人の幸福」という三つの要素。 

現代はどうしても経済的価値がファーストプライオリティになりがちで、「まずはお金を稼ぎましょう、次に余裕があったら社会にいいことをしましょう、最後に従業員の幸福」という順番になってしまっている。でも私は、この順番は本来逆なんじゃないかと思っています。 

個人が充実感を持って生き生きと働いていれば、自然と社会との接点が生まれる。そこで生まれた価値が認められた結果として、経済的なリターンがついてくる。 

この「個人→社会→経済」という循環こそが、働くことと生きることが一致した理想の順番だと考えています。 

山本:いまはその循環が「経済→社会→個人」の方向に倒れているから、人が疲弊し、新しいものも生まれにくくなっているわけで……。 

奥地:そう。その流れを反転させていくことが、Luvirとして描いている未来なんです。 

糸井:すごくわかります。人には、働くことで得られる“社会との接続”がありますよね。子育て後も働き続けたい人もいれば、専業主婦を選ぶ人もいる。どちらもいいけれど、働くことと個人の幸福は本来どこかでつながっているはずなのに、売上至上主義になった瞬間、その接続が断ち切られてしまうという……。 

そして結局、年収比較のような外側の評価に心を揺らされるのは、自尊心の問題でもあるんです。「自分は自分でいい」と思えれば、もっと多様な働き方を肯定できるのですが。 

働き方の価値観は確実に変わり始めている 

――この「働くことと生きることの一致」という考え方は、リアルな働き方の変化にも表れてくるという。 

奥地:同業のベンチャー支援をされている方から聞いたのですが、昔はIPOを目指して一気に拡大する企業が多かった。それが最近は、友人数名で小さく事業をつくり、自分たちが納得できる規模とペースで幸せを追求するという人が増えているそうなんです。 

彼らは「自分たちが心から良いと思えることをやる」という価値観で仕事を選んでいる。私は、それも一つの健全な選択肢だと思います。 

もちろん、日本社会全体を見れば稼ぐ力が必要な現実もあるし、そこで働きたい人も一定数いる。ただ、それとは別の働き方があってもいいし、状況に応じて行き来できる社会なら、もっと多くの人が幸福に働けるはずです。 

ただし、組織が拡大するほど数字だけを見るようになり、混乱が生まれやすい。 

そこで我々は、一旦「50人」という規模を目標にしました。以前は1000人規模を掲げていた時期もあったんですが、社内では大ブーイングで(笑) 

奥地:ちなみに50人という数字は、ダンバー数やキャラバンの比喩でも語られるように、顔が見える共同体としての最小単位。その50人の中や外にあるいは重なりながら多様なコミュニティが共存する姿が理想なんです。 

それぞれの場所で、一人ひとりが自分の幸福度を最大化できれば、その集合体として組織全体の価値も高まる――そんな未来をイメージしながら、CFJとしても構想しています。 

求む! パーパスドリブンな人材 

糸井:お話を伺っていると、奥地さんが組織のあり方そのものを強く再定義しようとしているように感じました。CFJとして、どんな人材と未来をつくりたいのかがとても気になります。 

奥地:コンサルタントの世界では、クライアントの要望に応える“マーケットイン型”か、プロダクトを押し出す“プロダクトアウト型”が主流です。でもその結果、「自分はどんな世界をつくりたいのか」という問いが抜け落ちたまま働いている人も少なくない。パートナークラスでも、意外なほど“ビジョン不在”だったりするんですよ。 

AIが瞬時に正解を提示する時代に入った以上、これから必要なのは“正解を届ける人”ではなく、クライアントと共につくるべき未来を描ける人材。 

私はそれを、「パーパスドリブン(存在意義起点)」と呼んでいます。 

論理で構造を掴む力、情緒で人の心に寄り添う力、そして何が正しいかを判断する倫理観——この「論理×情緒×倫理」を兼ね備えることが不可欠です。 

糸井:なるほど、素晴らしい人材像ですね! 

ちなみに、もし可能であれば山本さんにお聞きしたいです。その人物像は、山本さんと重なっていますか? 

山本:そうですね……私も前職から遠回りしてパーパスに戻ってきた側です。 

障害のある人の支援に関わりたくて厚生労働省に入るも、少し自分の想いに近づけることが難しかった。次に入った総合系コンサルファームでは社会課題をテーマにコンサルティングを行っていましたが、自分のキャリアに近づいているようで遠ざかっているのを感じていました。 

そんな時に奥地さんから声をかけてもらい、“やりたい世界を実現できるかもしれない”と初めて思えたのがLuvirなんです。 

奥地:山本さんのように、自分の信じる価値に戻ってくる人は本当に強い。CFJでも、そういう“自分の軸”を持てる人を増やしたいんです。 

それにしても、あの時は本当にタイミングがよかったよね。 

長く同じ業界にいて顔見知り。だけど一度も仕事しようなんて展開にならなかったのが、山本さんの話を聞いた瞬間に「それ、うちでいけるやん!」と絵が描けた。 

山本:はい、絶妙なタイミングでした。 

奥地:だけど偶然じゃなくて、山本さんが“火”を持ち続けていたからなんだよ。 

とはいえ、回り道しないと本質に届かない社会は変えていかないと。 

山本:では、PROJECT anyが見ている未来とは?  

糸井:ひとつは、どの時代でも“20代にスポットライトが当たる社会”をつくること。『不安な個人、立ちすくむ国家(2017、経産省若手プロジェクト)』を読んだ時に、PROJECT anyが目指しているのはまさにこれだと感じました。幸せの価値尺度が多様化し、かつてのようにGDPと国民の幸福度の相関関係が希薄化する時代に、かつては公的な機関が提供してきた役割を、意欲とスキルのある民が担う時代だと書かれていました。PROJECT anyが提供する社会に出る前の学生にパーソナルビジョンや価値観をもって人生を切り拓くサポートをするのは、まさに高等教育にとって代わる役割だと考えています。だからこそ、私たちは20代からサービス利用料をもらわずに次世代育成を事業として行っています。2030年までに、これを2000人規模のコミュニティとして成熟させ、将来的には2035年を一区切りに、同じ思想を持つ会社が全国に増えていく状態を目指しているんです。 

そうなれば、現状、弊社と同じモデルで教育事業を展開する会社は日本にはありませんが、「若者を応援する文化」が当たり前に根づいていく。同業他社が増えることこそ成功だと思っています。 

奥地:地域ごとに同じ志を持つ会社が増えていくと、いわば“挑戦機会のドミナント展開”のような状態になりますね。都市部だけでなく、地方にも均等にチャンスが広がりますね。 

山本:2035年にはどんな意味があるのですか? 

糸井:PROJECT anyは創業時から2035年――日本が本格的に超高齢社会へ入るこの年を節目と見てきました。 

2035年は、「現役世代1.2人で1人のシニアを支える大変な時代」と語られる未来ですが、私たちは逆に、「20歳以上の大人6.9人で、20歳未満の一人の若者を支えられる時代」と捉え直しています。 

支援された若者は、次の世代を応援する。その循環が社会を前に進めると信じています。 

奥地:我々も10年後を見据えています。最終的には、労働人口6000万人のうち3000万人がplayful に働く社会をつくりたい。そのための中間目標として、まず10年後に600万人へplayful を届けることを目標にしています。 

糸井さんだからできた、山本さんだからできた、優秀だからできた——ではなく、誰でも小さな一歩を踏み出せる社会にすること。成功の数より、挑戦や失敗の数が評価される文化に変えていきたい。 

そのためには、企業側にも“失敗を許容できる財務的な余白”が必要で、自己実現ができる場としての組織が問われてくると思っています。 

糸井:挑戦を特別扱いしない社会というのは、私たちの目標とも重なります。 

小さな行動が積み重なって文化になる。その流れを、一緒につくっていけたら最高です。 

【次回予告】

第2回では、CFJとPROJECT anyがそれぞれ見据える2035年の社会像を語った。 

個人・社会・経済の循環をどう組み替えるのか。働くことと生きることをどう一致させるのか。そして、挑戦が特別ではなく“当たり前”になる文化をどう根づかせるのか。 

しかし、理想だけでは社会は動かない。 

第3回では、両者がこれまでの実践で直面してきた“壁”と“構造的な課題”に踏み込んでいく。。