2025.09.17 ニュース

【vol.01】「想い」からはじまる協業へ。Luvir × IDL初対談レポート

【vol.01】「想い」からはじまる協業へ。Luvir × IDL初対談レポート

2025年8月、LuvirとIDL(アイディール・リーダーズ)の初となる対談が実現した。本格的な協業のスタートを控えた今、まずは「お互いを深く知る」ことから始めよう──そんな想いから企画された今回のセッション。

語られたのは、両社それぞれの事業や組織の成り立ち、組織づくりへのこだわり、そして働く一人ひとりが胸に抱く価値観やパーパス。単なる業務提携ではなく、思想やカルチャーの共鳴を通じて新しい価値を生み出すための土壌を、対話を通して耕していく。

対談に登壇したのは、LuvirのCEO中川氏、COO岡田氏、CIO奥地氏。そしてIDLからは、共同創業者の丹羽氏が参加。司会は、Luvirメンバーの原田氏が務めた。

一見すると異なる文化を持つ2社が、なぜ今、手を取り合おうとしているのか?
両社の“らしさ”がにじむ言葉の端々から、これからの協業が目指す未来のヒントが見えてきた。

本記事では、未来のソリューション創出に向けた第一歩として行われた対話の様子を、両社の熱量とともに余すところなくお届けする。

司会進行
・原田 実咲   

参加メンバー
アイディール・リーダーズ株式会社(IDL)
・丹羽真理 共同創業者/CHO

株式会社Luvir Consulting
◆中川裕貴 代表取締役/CEO 
◆岡田幸士 共同経営者/COO
◆奥地祐介 執行役員/CIO

本格的な協業の前に、まずは相互理解から

「本格的な協業」を前にした、Luvir Consultingとアイディール・リーダーズ。

これから多くの時間を共にする両社が、まずはこの場でお互いのことを深く理解し合い、協業のヒントを探りたい。

司会者である原田氏がそう切り出すと、まず読者に向けた、簡単な自己紹介が始まった。最初に口を開いたのは、Luvir Consulting代表取締役の中川氏である。

中川:Luvir Consulting、代表取締役の中川 裕貴と申します。デロイトトーマツコンサルティング合同会社、RIZAPグループを経て、2018年にLuvirの親会社であるSuprieve Holdings(現FIDIA)の執行役員になり、その翌年にSuprieve Consulting、現Luvirを設立しました。今年で37歳になり、キャリア16年目です。

よくこの2人(奥地・岡田)と一緒に訪問すると、僕が「カバン持ち?」みたいな目で見られることもあるんですが…(笑)本日はよろしくお願いいたします。

岡田:同じくLuvirのCOO(共同経営者)を務めております、岡田 幸士です。日本マクドナルドで人事などを経験し、デロイトトーマツコンサルティング合同会社に転職。その後、独立して現在のLuvirに参画しました。中川さんとはデロイト時代からの付き合いで、今もこうして一緒に働いています。

奥地:LuvirのCIOを務めている奥地 祐介です。これまでKPMGコンサルティングをはじめ、複数のコンサルティングファームでキャリアを積み、今年、2025年にCIOとしてジョインしました。ホームページに書いていない話で言えば、じつはこの3人は大学が一緒で、みんな神戸大学という共通点があるんです。当時は関わりがなかったのですが、今では昔からの友達みたいな感覚ですね。

丹羽:アイディール・リーダーズの丹羽 真理です。共同創業者で、チーフハピネスオフィサー(CHO)を務めています。経歴としては、野村総合研究所に入社後、コンサルタントとして幅広いプロジェクトに関わったところがスタートです。その後、社内ベンチャーのIDELEAを経て、2015年に当社を創業しました。以来、パーパス策定やウェルビーイング経営の支援、経営者向けのコーチングなどに取り組んでいます。

和やかな雰囲気の中、自己紹介から始まった今回の対談。ここから両者の相互理解を深めるべく、互いの会社のルーツに迫っていく。

Luvirの事業・組織文化のルーツを探る

原田(司会):まずは、会社の成り立ちや事業としての強み。そして「うちの組織文化ってこうだよね」といった、それぞれのカラーが見える部分を教えていただければと思います。では、Luvirの代表取締役である、中川さんからお願いできますでしょうか。

中川:はい。ではまず、Luvirの成り立ちについてお話できればと思います。先ほども少し触れましたが、もともと僕はデロイトでコンサルをやっておりまして、その後ライザップに入り、すぐに独立をしました。独立してからもいくつかの会社でコンサルをしていたんですが、その中で、うちの親会社であるFIDIAという会社に出会ったんです。そこは当時、600人規模の人材派遣会社だったんですけど、まだちゃんとした人事制度がありませんでした。

原田:その規模でしっかりとした人事制度がないと、大変そうですね。

中川:そうなんです。それで「制度をつくりたい」とご相談いただいて、約1年ほど一緒に伴走していました。そうしたらある日、会社の社長に「中川くん、1人でやるのは大変でしょ。ここには社員がたくさんいるから、うちの中でコンサル組織をつくりなよ」と提案されまして。

当時の僕は、組織不適合者として辞めた自覚があったので、そんな自分が組織を作れるのか、と迷ったんですけど、最終的には「なんだか面白そうだ」と思い、2019年の4月にLuvirを立ち上げました。

原田:FIDIA のコンサル組織という形で、Luvirがスタートしたんですね。

中川:はい。しかし当時は、人材派遣会社から10人入っても8人が辞める…といった、本当にカオスな状況で…。その頃はマネジメントの“マ”の字も知らなかったので、毎日が試行錯誤の連続でした。
でもその後、岡田さんがジョインしてくれて、少しずつ組織としての形になってきて。そして2024年の7月に、親会社から僕と岡田さんで株式を買い取って、いわゆるMBOという形で完全に独立しました。

Luvirのコンサルティングスタイルとは

原田:そうして、今のLuvir になっていったのですね。そんなLuvirの特徴は、どんなところにあると思いますか。

中川:やっていることは、人事・組織のコンサルティングなんですが、正直、普通のことをやっていたら大手の四大ファームには勝てないなと思っていて。だから僕たちは“人に投資するコンサルティング”として、伴走型のワークショップを組み合わせたりして、「仕組みだけではなく、人が動くこと」にこだわったアプローチを模索してます。今も日々試行錯誤しながら、前進しているところです。

原田:実際に“人が動くこと”にこだわって伴走するというのが、Luvirらしいコンサルティングなんですね。では、そんなLuvirの文化の強みについて、CIOである奥地さんからもお話を伺えますでしょうか。

奥地:そうですね。やっぱり、良い意味で「コンサルっぽくない」メンバーが多いことですかね。だからこそ、「なんだかこれ、違和感があるな」と思ったときに、それを素直に口にできる雰囲気があるんですよ。別に代替案があるわけじゃなくても、「これ、なんか気持ち悪いです」とか「中川さん、それはちょっとダサいです」みたいなことも言えちゃう(笑)。それって、ある意味Luvirのカルチャーだし、強みでもあると思います。

全員が活躍できるプレイフルな組織を目指して

原田:チームとして、自然と同じ方向を向けているのですね。
中川さんご自身は、奥地さんのお話を聞いてどう感じられましたか?

中川:たしかに、そういう意味ではLuvirって「コンサルっぽくない」組織だなと改めて思いましたね。あと僕がよく考えるのは、岡田さんがよく言う「2:6:2」の法則のことで。

原田:どんな組織にも「できる人・普通の人・あまり成果が出ない人」が一定の割合で存在するという考え方ですね。

中川:それです。でも僕としては、この法則を「10:0:0」にしたいと思っているんです。つまり、全員が何かしらの形で、十分に強みや価値を発揮できる組織を目指したい。今はコンサルティングがメインの事業になっていますが、価値の出し方ってそれだけではないはずなので、必要に応じて多様化していけたらと思っています。

将来的に50人・100人という規模の組織になったときには、「50通り、100通りの価値の発揮の仕方」がある組織でありたい。今はそれを実現するために、奔走しているところですね。

原田:全員の強みを最大化できるように、色々模索されているんですね。岡田さんはそんなLuvirについて、どう思われますか?

岡田:世の中に「逆ピラミッド組織」ってあるじゃないですか。 組織図でも、一番下に社長を置いているような。うちの会社が、まさにそれだなと思ってますね。

中川:僕、クライアントと話すより、社内メンバーと話すほうが緊張しますから。「みんな楽しんでるかな?」って、日々けっこう気を使ってます(笑)。

岡田:ヘンテコな組織ですよね(笑)。

中川:それから、Luvirには「会社を真剣な遊び場にしたい」というキーワードがあります。これは何もLuvirだけの話ではなくて、将来的には世の中の会社全体を、そんな場所にしていきたいという想いがありますね。

たとえば、子どもが公園で夢中になって遊んでいるときって、じつはすごいスピードで成長してるんですよ。あれって、目の前のことに本気で没頭できているからこそ起こるものだと思っていて。でも、そういう状態って、大人にも必要だと思うんです。

大人だって仕事に夢中になれたら、その人自身のパフォーマンスが上がるし、それが組織に還元されて、やがては社会にもポジティブな影響を与えられる。

だからまずは、僕たち自身がLuvirという場を「真剣な遊び場」にしていこうと。
そんな想いから、“Playful(プレイフル)”というコンセプトを掲げているんです。

一人ひとりが、自分自身の“プレイフル”を体現して、チームや関わる人にポジティブなエネルギーを届けられる存在になろう。そんな気持ちで、日々走り続けています。

アイディール・リーダーズ誕生の経緯

原田:では、続いて丹羽さんにもお伺いしていきたいのですが、アイディールの成り立ちについて、お話いただけますか。

丹羽:はい。アイディール・リーダーズは、今年でちょうど創業10周年を迎えまして、つい先日も10周年の記念パーティーを開催したところです。

会社としての法人設立は2015年なんですが、じつは、事業自体はもっと前から始まっていまして。2005年に、当時在籍していた野村総合研究所で、現代表の永井が“ある新規事業”を提案したことがきっかけでした。経営者向けのコーチングを新事業として立ち上げたんです。

その後、自然な流れで組織開発のコンサルティング業にも取り組むようになり、2005年から約10年間、社内ベンチャーとして活動を続けていました。私はその途中からチームメンバーに参加した形ですね。 そして2015年、「もっといろいろなことにチャレンジしたいね」とチーム内で話すようになり、様々な選択肢を検討しましたが、最終的には会社を辞めて、普通に独立して会社をつくった、という流れです。

中川:独立したんですね。

丹羽:そうなんです。なので出資を受けたわけでもなく、本当に自分たちで勝手に会社を立ち上げました。当時、もともとのチームは8人いたんですが、そのうち4人がこちらに参加、あとの4人は元の会社に残るという選択をしました。

そこから最初の2~3年は、4人で活動していましたが、しばらくして、方向性の違いから2人が離れることに。結果的に、現在も残っている創業メンバーは、永井と私の2人だけです。 ちなみに、永井は最初に社内ベンチャーを立ち上げた張本人で、私はそのチームに一番最後に加わった新入りでした。最初の人と最後の人が、今も一緒にやっていて、気づけばもう10年が経った…という、そんな不思議な関係なんです。

「全員が経営者」というカルチャーの共通点

岡田:共同経営って、実際うまくいくものなんですか?衝突が起きることもありそうですが…。

丹羽:意外とうまくいってますね。私達二人に限らず、会社全体でも衝突は少ないと思います。

そもそも私たちの中で「経営陣」と「従業員」という線引き自体あまりないんです。会社として、「全員が経営者」というスタンスでやっているので、意思決定も誰か数人で決めるというより、全員で考えて動きます。そのため、永井と私の間で「どっちの意見が正しいか」みたいな衝突が起こることもほとんどありません。ほぼ合議制ですね。

中川:前回、大阪で食事させてもらったときに、そういった空気感がすごく似てるなと感じたんですよ。そのときもスタッフの方が何名か来られてましたけど、みなさん本当に仲がよくて、自然体というか。組織の温度感がうちと似てるなあと。

Luvirも「3人の経営陣で全て決める」という感じではないんです。最近で言えば、社内の規定は原田が中心になってつくってくれましたし、トップが決めるというより、みんなで組織をつくっていこうよ、というスタンスで動いています。

丹羽:まさに、アイディールもそんな感じですね。
例えば新しく入ったメンバーが「この会社、こういう制度がないんですけど…」と言ってくることもあるのですが、「じゃあ自分で作ればいいんじゃない?」というのが基本のスタンスです。

でもそれは、ある意味厳しいところもあって。
「会社に制度がないから動けない」と言っているほうが、正直ラクじゃないですか。でも私たちは、一人ひとりが「この組織を一緒につくっていくメンバーの一員だ」という意識を大事にしているんです。だから、入社時にも「うちはそういう会社ですよ」と伝えるようにしていますね。

意思決定と役割は手挙げで決まる

岡田:意思決定は、全員の合意がないと動かせない感じですか?それとも、意見を聞いてから最後に誰かが決めているんですか?

丹羽:まず、意見を聞きますね。全員の合意が絶対必要、というわけではないかもしれませんが、最終的には、そのテーマを上げた人が責任を持つべきだと思っています。

岡田:じゃあ多数決でもないし、全員の合意が必要というわけでもない、と。

丹羽:そうですね。みんなの意見を聞いて、もし違う意見が出てきたら、その意見を出した人が一番そのテーマに思い入れがあると考えて、その人が責任を持つ感じですね。

中川:例えば経営陣が提案したことが、メンバーから覆されることってあるんですか?

丹羽:もちろんあります。そもそも、アイディールには「経営陣」という区分けもあまりなくて。正式には「CなんとかO」といった役職はありますが、あくまで対外的な肩書きで、社内ではそこまで堅苦しくありません。最近だと、新卒で入った人が「チーフマーケティングオフィサー(CMO)」になっていますね。「自分がマーケティングを責任を持ってやりたい」と言っていたので、「じゃあCMOになったらどう?」という感じで。

中川:なるほど、自分でやりたいことがあれば、自由に動いていいんですね。

丹羽:そうなんです。「好きで得意なことをやりましょう」というのを大切にしているので、いろんなことが手を挙げた人によって決まっていきます。なにかやりたいことがあるならどんどんやりなよ、といった社風ですね。

今後の事業展開も、内容よりも、誰がジョインするかによって変わってくると思っています。例えば新しい事業を始めるときも、計画ありきで人を選ぶんじゃなくて、想いを共にした人がアイデアを出したら経験がなくてもやってみる、という雰囲気です。

中川:それは自然にそういう組織になったのか、意図的にそういう組織をしようというのを作ったのか、どちらですか。

丹羽:意図的にそうしていると思います。

中川:なぜそうしようと?

丹羽:やっぱり、そうした方が一人ひとりが楽しく活躍できるからっていうのに尽きますね。働き方もそうですし、何をやるにも自分が好きで得意なことをやっている方がずっとパフォーマンス高いじゃないですか。

中川:あれ、これってLuvirのことを話してますか(笑)?

丹羽:ほんと似てますよね(笑)。

価値観や組織のあり方において、随所に共通点が見えてきたLuvirとアイディール。

次回は、「なぜいま、この2社が協業するのか?」をテーマに、両社が描き始めているビジョン、協業イメージについて、深く掘り下げていく。