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インタビュー詳細

具体的なアクションに結び付く営業戦略策定/DGフィナンシャルテクノロジー様

個別事業戦略策定

決済サービスを主事業とするDGフィナンシャルテクノロジー(デジタルガレージグループ)。中期経営計画の達成に向けた営業戦略の策定において、今回弊社がコンサルティングをさせていただいた。どういった経緯で依頼をしていただいたのか?プロジェクトの進め方やアウトプットはどうだったのか?営業本部本部長の野極さんと、営業本部営業企画部担当部長の山口さんに、お話を伺った。


会社概要

DGフィナンシャルテクノロジー(以下、DGFT)は決済サービスを主事業とし、小売店やEC事業者などに対して様々な決済手段を提供しているペイメントサービスプロバイダー。デジタルガレージグループ戦略「DG FinTech Shift」の中核を担う。

https://www.dgft.jp/company/

ご依頼背景・解決したい課題

中期経営計画達成に向けた営業戦略の策定


サービスの提供範囲が広いが、全方位で営業していくと効率性が下がってしまうため、
ターゲットの絞り込みを行いたかった。市場が変化するスピードが早く、業界構造を捉えながら有望市場を選定していく必要があったが、日々の営業活動と並行し、自社で中期的な営業戦略を策定することがリソース的に難しかった。

プロジェクト内容

目指す姿の整理


中期経営計画達成に向け、現在の状況と目指すべきゴールとのギャップを整理。

自社ポジショニングの把握


各市場における自社の現状、強みや課題感を整理。

ターゲット市場と必要アセットの特定


有望度の高い市場を選定し、業界構造・業界課題等を明らかにした上で、市場への参入アプローチを検討し見込まれる収益を試算。

実現に向けたロードマップ策定


戦略実行に向けて取るべきアクションやロードマップを策定。

依頼の経緯

――DGFTさんは、デジタルガレージグループの中でも中核子会社として位置づけられていると思います。今回営業組織に関してご支援をさせていただきましたが、今回弊社に依頼していただいた経緯を教えていただけますでしょうか。

野極さん:今期中にグループ全体で中期経営計画を策定し、それに沿って我々(DGFT)として役割を果たすべき計画も作らないといけない状況でした。中でも特に営業戦略は一番中核になる部分なので、営業戦略策定にご協力いただきたいと思い、依頼しました。

――ありがとうございます。20242月に一度、1ヶ月ほどご支援し、決済領域を中心に営業戦略の策定をさせていただきました。今回はもう少し規模を広げて決済領域以外の領域も含めて深掘りを行うことを目的に、3.5ヶ月ほどご支援させていただきました。本当に濃く充実した期間でした。

簡単にそのプロジェクト内容を改めて振り返らせていただけたらと思っています。

プロジェクトの内容・進め方

――DGFTの営業組織だけでなく、グループ全体の広いセグメントでご支援させていただきました。3.5ヶ月で、前回策定した営業本部の戦略を起点にして、ターゲット市場の特定や、グループとしてのアセットをどう活用していくのか、そしてそれを最終的にどのように実際のアクションにつなげていくかというご支援だったかと思います。

このプロジェクトの柱として、具体的にどういった課題が顕在していたとお考えでしょうか?

野極さん:我々が提供しているサービスは、領域が幅広いんですよね。なので、全てに着手する必要があり、全方位で営業していくという点において、効率性や生産性を保つことに難しさがあります。ある程度ターゲットの領域や業種を絞り出したいという思いは元々ありましたが、市場の変化がものすごいスピードで変わってきており、競合も台頭してきています。自社の営業目線だけだと得られない情報や調査内容があるので、どう整理していこうかと考えていました。日常的に本業の営業をしている中では対応することが難しいので、依頼させてもらいました。

――これまでの営業の戦略機能や企画機能はどういう状態でしたか?

野極さん:営業部員が作っている状態でした。専門部署もありますが実態としては“機能していない“状態でした。今回のプロジェクトを通じて形になったので、それをお手本として、社内にて組織化して実行していく必要があると考えています。

――去年の夏頃にご支援する前の情報交換の場で営業の求めるケイパビリティが変わってきていて、よりコンサル的な素養が必要ということをおっしゃっていましたよね。そういうものを具備していかないと、太刀打ちできない状態になってきているというのは、プロジェクトの中でも感じました。営業組織や人材も変わっていくことで、期待が高まっていくように感じております。

山口さんは我々がご支援する少し前に入社されたと思います。まだ社歴が浅いかと思いますが、そんな山口さんから見たときの営業組織の課題は、いかがでしたでしょうか?

山口さん:競合他社と比べると、当社の営業人員は少ないです。マーケット自体は競合が激しい中、誰に何を提供するか、そのためにグループアセットをどう活用するかという点が、大きな課題と認識しています。今回のプロジェクトの中で課題の解決策を明らかにして、中期経営計画のアクションプランに落とし、計画を達成できるようにできたらと考えていました。

――3.5ヶ月プロジェクトを走ってきた中で、印象に残ったことや苦労したことはございますでしょうか?

山口さん:そうですね。我々は事業会社の人間なので、有望市場や打ち手のイメージはある程度頭の中にありますが、そのイメージをしっかりと皆さんに共有するところを出発点としないと、納得したアウトプットが出てこないと感じていました。皆さんにより良いアウトプットを出してもらうためには、我々の事業を分かり易くかつインプットをたくさんするところが重要で苦労しました。皆さんも、当社の事業を深く理解いただくことが大変だったと思います。最終的には充分ご理解いただき、良いアウトプットを出していただいたと感じています。

――そうですね。もちろん、プロジェクトが始まるときには”キャッシュレス決済”に関する書籍や資料を一通り読み込んで、理解しました。キャッシュレス決済自体はとっつきやすいのですが、実際にビジネスを深掘りしていこうとしたときに、市場によって大きく異なる世界が広がっていました。しかも、プロジェクトの後半では複数の有望市場に着目してそれぞれ深掘りを行いましたが、市場によってプレイヤーの顔ぶれも変わるし、バリューチェーンも違っていたため、我々だけでは市場を正しくとらえきれない部分もありました。そこは皆さんが“ここは知見を提供した方がいいだろう”と判断し、インプットしていただいたと思います。うまく足並み揃えて進めさせていただくことができ、我々としては非常にありがたかったなと思います。

野極さん:当社は決済メニューが複雑で多岐に渡ります。スプレッドとか原価も、サービスによってさまざまです。皆さんがいろいろお調べいただいて、アウトプットいただいても、“まだ足りない”っていうふうに感じる部分が結構ありました。でも、そこは、事業会社でないとわからなくて当然で、うまくすり合わせながら進めていくところが、大変だったのではないかなと思います。

――今回は、これまで我々が携わってきたプロジェクトの中でも、特にインプットの多いプロジェクトだったと思っています。”決済事業とは何か”というインプットや、有望マーケットをしっかりと分析していくという部分において、最初のインプットや情報の整理にウェイトをおいてしまったところがありました。

ですが、コンサルの価値は”整理屋さん”ではないので、そこから付加価値を出していかないといけません。ヒントをいただきながら、濃いディスカッションをさせていただく過程で、一緒にチームになって示唆を出せている感覚があったので、我々からすると、すごくやりやすかったです。

野極さん:そうですね。会議室内に限らずフランクなコミュニケーションの場も設けて、そういう中で拾えるいろんな情報もあったのではないかと思います。

――我々のチームは、”ワンチーム”をとても大切にする考えを持っています。お客様のことを知らないと、お客様を好きにならないと出せないパワーっていうものも、どうしてもあると思います。そういった意味ではお打合せの時間以外にも交流の機会を多く持たせていただき大変ありがたかったです(笑)

山口さん:営業戦略というと、絵に描いた餅になりやすいですが、”最終的にはここを攻める”っていうところの企業名まで一緒に調べながらアウトプットを出して、実際に営業の次のアクションができる準備までできた点が本当に良かったです。

――このプロジェクトはこれで終わりではなく御社の中ではこれが始まりだと認識しています。そこから、具体的にどういう戦略やアクションをとっていくのかが非常に大切になってくると思います。今回のプロジェクト結果は今後の進め方の指針になっていますでしょうか?

野極さん:既に何回か来期に向けての戦略や営業の進め方の話し合いを始めています。その中でも、選定した有望市場を見据えて、何を武器にどうアプローチしていくか、という議論になっています。あとは、どういう体制を構築して推進するかという、検討の土台にも使っています。

――本当に皆さんの当事者意識がすごく強いと感じました。建前ではなくて、本当に会社を良くしようという思いを強く感じたので、今回策定した戦略がその礎となればいいなと強く感じています。

コンサルティングを依頼して良かったこと

――プロジェクト全体を通して、弊社にお願いして良かったことや、弊社に価値を感じていただいたところは、どういったところでしょうか?

野極さん:いわゆる大手のコンサル会社ではないからこそ良かった部分があるのでは、と思っています。皆さん、前職の事業会社の経験や持ち前のキャラクターを活かしながら、それぞれの役割分担の中で、1週間単位で毎週アウトプット・示唆をくれた点が良かったです。

僕も何回かコンサル会社にお願いしたことはありますが、統計的なアウトプットで終わってしまうことも多かったので、皆さんは動き方が全然違いました。

逆に、皆さんが苦労したことはありましたか?

――そうですね。皆さん営業活動でお忙しくされている中で、このプロジェクトを計画的に推進していく点に難しさがありました。通常業務がありながらのこのプロジェクトは、皆さんが一番大変だと思います。密に連携を取っていくところが、今回のプロジェクトの肝だったと思っています。

終盤は、毎週、役員の皆さんとも議論をさせていただき、役員の巻き込み方も本当に上手に進めていただいたと思っています。役員をしっかりと巻き込みながら進められたので、決めたことがひっくり返されることもありませんでした。

野極さん:ひっくり返されることってあるんですね。

――結構あります。組織運営上論理で片付かない問題は多いと思います。その中で、御社の場合は、”ゴールに一丸となって向かえ“たので、とてもやりやすかったですね。

野極さん:当社の特徴なのかもしれませんが、上席が任せてくれるという文化があります。だから、自分で決められました。

――確かにそうですね。プロジェクトで決めたことに対して、”それでいいんじゃない”と言っていただき、それに沿った意見をいただけるような場面が多くありました。

今後の課題

――今回のプロジェクトでは、決済という主事業がありながら、それをどうグループ内の関係各所を巻き込んでワンチームでやっていくのかというのが、1つの大きなミッションだったと思います。決済領域に加えてどういったアセットを活用するかということは議論をしてきました。その点について、今後の動きに繋がりそうなことや今後の課題はございますか?

野極さん:グループ全体で決めた方針になっているので、組織全体でグループアセットを活用していく意識はしています。ただ、現場のレイヤーからすると、目の前の目標があり、近視眼的になるのは仕方ないなと考えています。ただ、僕らのレイヤーは、何か計画や行動をする際は、グループアセットで使えるものは使っていくという、常に広い視野を持つ必要があります

――今回のプロジェクトの中でも、エキスパートインタビューで各市場にどういう課題があるのか伺っても、なかなか決済領域のみで差別化がしづらい市場もありました。御社の場合はいろんなアセットがあり、有機的に繋がると全然違う世界が見えてくるだろうという感覚はありましたね。

野極さん:そうですね。サービスを売ることだけを目標とする意識だと、加盟店さんをひとつのアカウントとして見ずに、自分が担当しているサービスだけを売って終わりになってしまいます。そうならないように、マインドや思考回路を変えていかなければいけません。そのためには、今回調査してもらったような他社情報やバリューチェーンを頭の中に入れておくことが大切ですよね。

――今後、そこが一番肝になってくると思います。戦略は、描くことはできても、それを実行するのが一番難しいですよね。キーとなる実行力・推進力を持った方がどれだけいるかっていうところが最終的には重要です。

野極さん:そうですね。ただ、全員が大谷翔平じゃなくてもいいと思います。むしろ、そうじゃない方がいいですよね。ある程度のスキルが備わっていて、強いマインドを持っていれば、いい組織は作っていけると思います。

――今回3つの営業戦略を立てました。それが実行されたとき、競合他社にとって、脅威になると思いますし、年々拡大するキャッシュレス決済市場の成長以上に飛躍できると思っています。成功の礎になれば嬉しいと、心の底から思います。

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